きっとこんな歌

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 最近は台風が来たりして天気がぐずついていますね。八月はさっぱりと晴れてうざったらしいほどに暑かったというのに。

 私はそんなよく晴れた八月に、なぜか歌手の椎名林檎さんの「雨傘」という歌をよく聞いていました。この歌は椎名さんがアイドルグループのTOKIOのために作った歌で、私が聞いているのは椎名さんがそれを逆輸入してご自身で英語で歌っているものです。

 とても良い歌で、実際に聞いてみてほしいので細かい説明はしませんが、私的にはこの歌は「自分の感覚と能力に頼って生きろ。周りに傷つけられても流されはするな。そんでどうしようもなくなったら助けに行くから、それまでは自分を見失うな」みたいなことを言っているものだと思っています(もちろん異論は認めます)。私は一人暮らしをこの春から始めて、家族や友人に助けてもらいながら初めて全てを自分で決めるという生活を続けていて、この歌をこんな風に解釈して、勝手に自分への応援歌として聞いていました。

 私がこの歌を聞き始めたのは最近なのですが、この歌って実は私がもっと小さい子供のときにドラマの主題歌かなんかで使われていた歌で、一応聞き覚えはあるんですよ。でも小さいときの自分にはまだよく意味が分からなかったみたいで、お気に入りにはならなかったみたいですね。でも、なんとなくどこかで覚えてはいました。

 今までなに言っているかわからなかった歌の意味が、ふとした拍子にわかるようになるって経験って、結構あると思うんです。ありませんか?嬉しいとき、悲しいとき、疲れたとき、死にたくなったとき、愛しい人が現れたとき、色々な場面で、あーなんかメロディだけ気に入ってて歌詞はよくわかってなかったけど、もしかしたら今の私のこんな感じを言ってる歌なのかも、と納得する。そうして、初対面でないはずの歌と新たな運命の出会いを果たして、そこから先の人生を支えてくれるみたいな。

 大人たちって、なんであんな強いんだろうとずっと疑問に思っていたのですが、最近、今言ったことが一つの答えなのかもと思い始めました。大人たちは今までに色々な体験をしてきて、その中で自分の支えとなってくれる音楽や、美術や、人や、他の何かと出会ってきたから強いんじゃないですかね。逆に言えば、そうやって自分の支えとなるものを増やしていくことが「大人になる」ということなのかもしれません。

 でも、私で言う「雨傘」みたいに、きっとその運命の出会いというのは本当に出会ったその瞬間にできるものではなくて、一度出会って、なんとなく心にとめたまま過ごして、いつかいきなり目の前の道がぱぁっと開けるようにできるものなんじゃないかと思っています。そりゃひとめぼれもあるとは思いますが、君らだってひとめぼれなんてそうないでしょ?何度か遊んでからこいつ親友!とかこいつ恋人!ってなるでしょ?

 だから私は少しでも多くのものといつか運命の出会いができるように、なるべく多くのものと出会って、切り捨てずに生きていこうと考えてます。たとえよくわからないものでも、こうして過ごしているうちに、「きっとこんな歌」と自分なりに納得できるときが来て、それが私の大きな力になってくれるかも知れないので。

 最近はいきなり雨が降ることが多いですね。みなさん、傘をお忘れなきよう。駄文錬成終わり!